【咲結side】


「改めまして、私の彼氏の霧崎 蒼斗(きりざき あおと)



「咲結ちゃんはじめまして、龍臣と同じクラスの霧崎蒼斗です。よろしくね」




クールそうな印象とは反対に、霧崎先輩はやわらかく微笑んだ。





「おい蒼斗、咲結って呼んじゃダメだよって言ったよな」


「別にいいですよ、咲結で」




すぐさまかみつく龍臣先輩は年上には思えない。



まったく、なんで龍臣先輩に決められなきゃいけないんだ。


“ ありあけ ” より “ さゆ ” の方が短くて言いやすいんだからそれでいいのに。





「麻里奈と同じクラスの有明咲結です。たつ…夏木先輩とは図書委員で同じなだけです」


「ちょい咲結ってば、いつもみたいに龍臣♡って呼んでよ」


「ほんとにだるいです、先輩」





じろりと睨むと龍臣先輩はきゃーこわーいなんて言ってケラケラ笑っていた。


ドMか。





「仲良いねぇ、付き合って3年くらいのカップルみたい」


「やめてよ麻里奈、冗談でも」


「冷たいねうん、寂しいよ俺」




寂しがる先輩をよそに私はメニューを眺めた。