「もう上がりだから着替えてくる。待ってて」


「うん、ここにいる〜」




店員さんは麻里奈の頭を軽く撫でて去っていった。



思い出した。あの人…




「あの人が麻里奈の新しい彼氏?」



「そう、こないだ写真見せたもんね。もう上がりの時間だから後で紹介するよ」




麻里奈は幸せそうに微笑んだ。




…なんか、今度は大丈夫そうだな。




麻里奈は恋多き女。もとい男運の悪い女。



今までも恋をしてはひどい終わり方をして、を繰り返していた。


だから新しい彼氏って不安でしかなかったけど、なんか今までで1番幸せそうに笑ってる。



彼氏さんも今までの人たちとは違う雰囲気だし、なんか安心したかもしれない。




「お待たせ咲結。コーヒーと紅茶どっちがいい?」


「…紅茶で。ありがとうございます」




さりげなく席を立っていた龍臣先輩はコーヒーと紅茶を持って帰ってきた。



スマートだな…


さすがチャラ男、なんて。




「で?その2人はなんで一緒にいんの!」




と、食い気味に麻里奈。


そうか、龍臣先輩が図書委員だったことは言ったけど、

浮気現場を一緒に目撃したこともなんか懐かれてることも言ってなかったっけ。