「…咲結は?最近何してんの」



「うーん、委員会がない日は家でゆっくりしてるかなぁ。バイト始めようとも思ってるんだけどね」





耳からこぼれた髪の毛をすくいかけ直し、遥輝に微笑んだ。




なんで平気で会話出来てんだろう。

私も、遥輝も。



いま、ちゃんと笑えてるのかな。




「何委員だっけ」


「図書委員だよ。忘れたの?」


「あー、そうだったな。イメージないから忘れてた」



私が1年生からずっと図書委員だって、何回か話したことあるのに。


それくらい、遥輝の中で私はどうでもよくなってしまったんだろうか。




それくらい、今の君の目にはあの先輩しか映っていないのだろうか。




「…髪、切った?」


「うん、2週間くらい前にね。」


「そっか。長いのもよかったけどそれくらいが1番咲結って感じする」


「はは、なにそれ」




胸らへんまであった髪の毛を肩下まで切った。

もう、2週間も前のこと。




気にしちゃダメって、分かってるのに。

どうしてもモヤっとしてしまう。



遥輝に “ 咲結らしい ” と言われると今すぐにでも髪の毛を伸ばしたくなるのはなぜだろう。


もはやバッサリ切っちゃおうかな。





浮気の原因は遥輝だけにあるんじゃないって、頭では分かってるのに。



私、荒んでるなぁ。