もう11月。
先輩は知らぬ間に先週推薦入試に行っていたらしく、もう事実上の受験は終わっている。
指定校推薦だし、先輩はああ見えて優等生だから確実だろうって図書委員の顧問の先生が言ってた。
前にチラッと自分は頭がいい、みたいなことを言ってたけど嘘じゃなかったんだ。
「何ぼーっとしてんの」
「…こっちのセリフですよ、なんでおいてくんですか」
「コンビニ行こうっていったよ、3回。でも悶えてて聞こえてなかったから置いてったの」
「なっ…!」
3回も?全く聞こえてなかった。
そこまで動揺してた自分に再び動揺する。
「咲結だんだん人間っぽくなってきたね」
「…失礼な、もともと人間です」
人間だと知らずに告白したんですか、なんて睨むと龍臣先輩はニコニコするだけだった。
「俺はうれしいよ、咲結の新しい一面がどんどん見れて」
「…先輩こそ、意外と重いとことか照れ屋なとことか束縛気質なとことか」
「ストップ、これ以上やめて言わないで」
そういって顔を片手で隠す先輩はやっぱり赤面していた。
ああ、幸せだなあ。なんて柄にもなく頬が緩む。
「そんなドS気質だったっけ?」
「誰かさんに似たんじゃないですかね」