「先ぱ…んっ」
さすがに背中が痛くてもうやめさせようと振り向くとそのまま唇をふさがれる。
「おしおき」
「…不意打ちはダメだっていつも言ってますよね」
「知らないよ。咲結が悪い、俺を怒らせたから」
「先輩って怒ってるといつもの爽やか胡散くさスマイルに磨きがかかりますよね」
どこかのメンヘラ彼女かと思うくらい今日の龍臣先輩は執念深い。
普通の女の子ならここで愛されてるなぁ、とかなるんだろうか。
残念ながらかわいげのない私は “ 背中痛いなぁ ” としか思えない。
「ほかの男に触られないで」
「触られに行ったわけじゃないし事故です」
「事故は未然に防げ」
「そんな無茶な」
付き合ってから初めて知ったこと。
龍臣先輩は結構…いやかなり、可愛いところがある。
本人に言ったら怒られそうだから言わないけど、日に日に変化している気がする。
「咲結、明日何時に学校終わるの」
「明日は先輩たちが模擬試験だから1,2年は休みですよ」
「だよね。じゃあ今日泊まりね」
「………は?」
私は手から力が抜けてアルバムを自分の足の上に落とした。



