「くっそ、むかつく」



「そんな顔で言われても怖くないですよ」



「へえ、言うようになったじゃん」




「それほどでも」

「褒めてねえわ」




本当はお母さんに挨拶したかったけど、いったん後回しにしなきゃいけなそうだ。



まあ可愛い先輩も見れたことだしまあいいとしよう。







――いいとしようって、言ったけどさ。


「…いつまでこの姿勢でいなきゃいけないんですか」



「んー?いつまでも。そのために目的地変更したんじゃん」




耳に息がかかってくすぐったいし、ぬくもりがどうも落ち着かない。



ずっと離してって言ってるのに…!




「ほらちゃんと集中しなよ。卒アル見たいって言ったの咲結でしょ」



「それとこれとは別です…!」



「顔赤。さっき俺のこと散々笑ってたのにね」




そういって龍臣先輩は私の体に後ろから回した腕をキュッと締める。





そう、龍臣先輩の部屋に来た私は棚にあった卒業アルバムを見せてもらったんだけど。



ここ座っていいよって言われたベッドの前に座ったら無理やり背後に龍臣先輩が座って、そのまま抱きつかれて今に至る。