「先輩、どこ行くんですか!」
「…咲結のこと独り占めできる場所」
「なんですかそれ」
そのまま結局行先は告げられず、15分ほど歩いて目的地に着いた。
「ここ…」
「俺んち。はい行くよ」
ガチャとドアを開けて当たり前のように連れ込まれたのだった。
「ちょっ、先…」
「龍臣ぃ?もう帰ってきたの?」
靴を脱いで玄関に上がろうとした龍臣先輩と私はフリーズ。
だって奥の部屋から出てきた人…もしかして、いやもしかしなくても…
「…母さん、いたの」
「今日休みだって言わなかった?」
やっぱり、龍臣先輩のお母さん…!!
「あら…もしかして彼女さん!?あらやだっ、うそでしょ!?ちょっと」
「ねえ母さんお願いちょっと黙って、うん、頼む」
龍臣先輩は珍しく焦って奥の部屋へとお母さんを押し込んだ。
その耳は少し赤く染まっているような気がする。
「……ごめん、変なもの見せて」
「耳まで真っ赤ですよ、龍臣先輩」
振り向いた龍臣先輩はやっぱり真っ赤で私は吹き出した。



