龍臣先輩は今日も意地悪



「逆恨みかもしんないけど、少なくともライバルではあるみたいだから」


「…何のこと?」



「こっちのハナシ。有明はまだわかんなくていいよ。今日は俺のこと見てろよ、絶対あの人よりかっこいいって思わせるから」



「なんでそんな張り切ってるのかわかんないけど、頑張ってね…?」




運動部はやっぱり張り切ってしまうものなのだろうか、体育祭というものは。


安堂くんちょっと脳筋じみたとこあるし。




「翔琉ー!お前何有明サンと話してんだよずりいな!混ぜろ!」



「いってえなバカ!」




座っていた席の周りにはいつのまにかサッカー部やら同じクラスの男の子たちが集まっていて、安堂くんにぎゃーぎゃーと絡んでいた。



本人は龍臣先輩に敵わないみたいなこと言ってたけど、人望とか友達の多さとかは絶対安堂くんの勝ちだろうな。




「なあ翔琉、今日赤団勝ったら打ち上げしよーぜ。負けたら明日から頑張ろうの会!」



「どっちみち飯行くんじゃん」




安堂くんの周りにはいつもきまって人がいる。

自然と人が近寄ってきて、集まる。




「安堂くんってパワースポットみたいだよね」



「おうおうどうした有明、お前まで頭おかしくなった?」



「失礼な。人がせっかく褒めてあげてるのに」



「言葉選びのセンスよ。不器用か!俺は世界遺産か!」