要するにどういうことなんだ。
まどろっこしい言い方はやめてほしいけど、そんなこと言える雰囲気じゃなかった。
本当に嫌いなんだな、なんて。
「俺1年の時付き合ってた子いたんだけどさ、あの人にかっさらわれたんだよね」
「…え?」
「結局その子の片思いで終わって夏木龍臣にはフラれたらしいけど。」
安堂くんに元カノと呼ぶ存在が数人いることは知っていた。
彼はそこそこ有名人だったから。
でも毎回別れたって話は聞かなくて、気づいたら新しい彼女の噂が回ってる人だった。
そのせいで私の中で彼は軽い人って印象だったんだけど。
「入学してすぐの時にあの子から一目ぼれしたって告られて、別にあの時彼女いなかったからOKして。
でも一緒にいるうちに俺どんどん好きになってった、その子のこと」
安堂くんは遠くを見つめながらそんな話をし始めた。



