無理、俺にして


***

「はあ……」

放課後。

誰もいなくなった教室で、私は大きく息を吐いた。

先生に呼ばれて、職員室に向かったあっくんが戻ってくるのを待っている。


「……」


あ。

手を伸ばせば簡単に届く位置にあるカーテンに目をやると、私が思っていたより厚い生地だったことに気がついた。


私はそっとノートを取り出して、シャープペンを走らせた。

誰にも見られず、気付かれず、静かなこの空間で過ごすのが好き。

そこに『誰か来るかも知れない』っていうスリルが加えられることで、より気分が高まる。


スリル、といっても。

学校に残っている人がいるとしても部活のためくらいで、教室に残っている人はほとんどいないから、誰か教室に来るとしてもそれはあっくん。

ノートを開くいつもの時に比べると、だいぶ気は緩んでいた。

緩めてもいいと思っていた。



……のが、間違いだった。