「……お、男の子と仲良くしちゃだめなの」
「なして」
「お母さんに、そう言われて」
折原くんは、体の向きを仰向きからこっち側に向ける。
さっきよりは真面目な顔してて、なんだか余計に話しにくくなってしまった。
でも、言わなきゃ、事情をちゃんと話さなきゃこの人はきっとノートを返してくれない。
なんとなくそう思ったから、どれだけ小さい声になっても必死に絞り出す。
「小さい頃からずっと、男の子は怖い生き物だからって、仲良くなっちゃだめって」
「ほう、確かに男は怖いもんよ」
「だ、から」
男の子と仲良くしたら、お母さんが悲しむから。
仲良くしないように、距離をとって避けてきた。
だけど、成長するにつれて恋愛というものの距離がどんどん近くなっていった。
「我慢できなくなってきたわけだー?」
「っ!!」
ドキンと大きく胸が鳴る。
誰がどう見ても、こんなの変態だ。自分でもわかってる。
でも、だって。
「そんなこと、言ったって」
こうしてノートに書き連ねること以外で、誰にも迷惑をかけない方法なんてないのに。



