無理、俺にして


「……ふう」


病院の中にあるコンビニに行く前に、中庭のベンチに座って空をあおぐ。
風のおかげで、さっきまで溢れそうになっていた涙は、そう時間がかからないうちに乾いた。


「っし、行くかー」


今度こそちゃんと我慢する。
心の中でもう一度よし、と気合いを入れて立ち上がろうとしたとき。


「ぐす……っ、ひっく……」

「……?」


女の人の、すすり泣く声が近くで聞こえる。

近くにいるはずなのに、泣いているであろう女の人の姿はどこにもない。
……こんな昼間から出るわけもないし、なんて考えていた時。


「う、ふぇ……っ」

「!」


すぐ後ろの、木の陰に座り込んでいる女の人を見つける。

多分腰まであるだろう長くて綺麗な黒い髪の毛は、ところどころボサボサになっている。


……泣きながらくしゃくしゃにしたんだろう。


「あの、大丈夫ですか」


放っておけなくて、立ち寄り声をかける。

こんな、中学生に声をかけれられたところで

この人はきっと困ってしまうだけなのかも知れないんだけど。