「紫乃」
父さんのことだ。
男の俺らがへこたれてどうすんだ!! っしゃあ!!
気合いでどうにかなっちまうだろ!! 心配すんな!!
……なんてことを言うつもりなんだろう。
こんな時までふざけたことを言う父親なら、ちょっと一発殴ってもいいかな、母さん。
そう思ってテーブルの下で拳を握る。
「『喉元過ぎれば熱さを忘れる』って、知ってるか。……っておいなんで急に立った? 座れ?」
「……」
父さんの言いそうな台詞を勝手に決めこみ、話し出した瞬間ぶん殴ろうとした。
けど、全然違った。
え、なんて?
父さんがなんだか頭の良さそうなことを言い出すから、拍子抜け。
そんな俺に向かって、父さんは真面目な顔して「いいか、紫乃」と続ける。
「母さんが諦めない限り、父さんも諦めないつもりなのだけは信じて聞けよ?」
「……はい」
もう一度椅子に腰掛けて、雰囲気の違う父さんの方をじっと見つめた。
「もしも、母さんが死んだら悲しくて苦しくて、きっと父さん……死にたくなる」
「……俺も」
「けどな、どんなに苦しいこともしんどいことも、時間がある程度経てば落ち着くんだ。人間ってそうやって都合良くできてるんだよ。神様ってすげーよな」
父さんのことだ。
男の俺らがへこたれてどうすんだ!! っしゃあ!!
気合いでどうにかなっちまうだろ!! 心配すんな!!
……なんてことを言うつもりなんだろう。
こんな時までふざけたことを言う父親なら、ちょっと一発殴ってもいいかな、母さん。
そう思ってテーブルの下で拳を握る。
「『喉元過ぎれば熱さを忘れる』って、知ってるか。……っておいなんで急に立った? 座れ?」
「……」
父さんの言いそうな台詞を勝手に決めこみ、話し出した瞬間ぶん殴ろうとした。
けど、全然違った。
え、なんて?
父さんがなんだか頭の良さそうなことを言い出すから、拍子抜け。
そんな俺に向かって、父さんは真面目な顔して「いいか、紫乃」と続ける。
「母さんが諦めない限り、父さんも諦めないつもりなのだけは信じて聞けよ?」
「……はい」
もう一度椅子に腰掛けて、雰囲気の違う父さんの方をじっと見つめた。
「もしも、母さんが死んだら悲しくて苦しくて、きっと父さん……死にたくなる」
「……俺も」
「けどな、どんなに苦しいこともしんどいことも、時間がある程度経てば落ち着くんだ。人間ってそうやって都合良くできてるんだよ。神様ってすげーよな」



