無理、俺にして

けど、あっくんやふみちゃんがいる手前言うことなんてできなくて、唾を言葉ごとごくんと飲み込んだ。


「……明日、楽しもうね!」


ぐっと握った手を天井に向かって伸ばす。

こんな、タイミングも内容も裏返った声も、全部がおかしな事になっていても。

きっと君は。


「うん、ほだね」


こうして優しく微笑んでくれるのを私は知ってるから。


「おい、勝手に二人の世界に入るなー」


私と折原くんの視線の間に、不機嫌そうな声で割って入ってくるあっくん。


「なんじゃ秋音、さみしんぼか? オリくんがよしよししたげるヨ」

「いいこいいこもして~」

「そいえば、アンタ何組だっけ」

「無視ってひどいよね? ね? オリくん」


折原くんの袖をぎゅっとつかんで涙を浮かべるあっくん。

そんなあっくんは眼中にないと言ったように、私を見て首を傾げてくる。


私は、ポケットに入れていた青いハチマキをさっと取り出して、どや顔で頭に巻いて見せた。

ふみちゃんにハチマキ姿がかわいいと言われてから、使わないと分かっていても練習中は持ち歩いてしまう。
今、私の中でちょっとしたお気に入りアイテム。