改札をくぐって、表に出るとその人の言ったとおり車が待っていた。 その人は運転手に何かいって、さっさと車に乗り込んでしまった。 スーツケースを取り返すのと、申し出を断るために車に近づく私の目の前で、 運転手によって、スーツケースは早々と車のトランクに入れられてしまった。 運転手はドアを開けて、 「さっ、どうぞお乗り下さいっ」 と私に言った。 (こうなりゃ、もうやけくそだっ。身でも何でも売られてしまおうっ!!) そう割り切って、車に乗り込んだ私。