わたしは適当な相づちを打ちながら、耳を傾けていた。

「芹沢さんはどうだった?あまり入り込めてはいなかったようだけど」

「わたしは、まあまあかなという感じです。普段、あまり映画を観ないので、どの程度の面白さなのかということ自体がよくわからなくて」

「確かに、映画には映画の面白さがあるからね。同じ物語でも、ドラマばかり見ている人が映画の良さを理解できないことはたまにあるんだ」

「単にジャンルが合わなかったのかもしれないです。文学的というか、大きな変化があまり起きないような映画だったので、もっとこっちから近づいていったほうがよかったのかも」

「やっぱり女子は恋愛もののほうが好きだよね。自分の趣味を押し付けるのって、まずかったかなと反省してる」

「いえ、いいんです。面白いかどうかなんて、結局見ないとわかりませんから」

「今度は別のタイプのを紹介するよ。今年は映画のあたり年とも言われていて、とくに海外の話題作が目白押しなんだ」