「ねぇ、海斗くん。ここで約束してよ。もう二度とわたしには話しかけない。連絡も寄越さない。はっきりとそう言って」

海斗くんはまだ何かを言いたそうにしていた。

わたしの態度に違和感を感じているのかもしれない。

いつまでもこんな状態は続けられない。

結局、言葉だけで説得するのは難しいのかもしれない。

これは使いたくなかったけれど、もっと過激なやり方に頼るしかないのかも。

「もし、海斗くんがこれでもまだ付きまとうというなら、わたしにも考えがあるから」

わたしはポケットに潜ませていたカッターを取りだし、自分の首もとに当てた。

「わたし、死ぬよ。海斗くんにストーカーされて自殺するよ」

「お、おい、莉子、何やってるんだよ」

海斗くんは動揺している。

石でガラスを割った人が今度はナイフを取り出して自殺しようとしている。

こんな状況、平静でいられるわけがない。