「あ、ごめん、勝手にベラベラ話してしまって」

「いいんです。それだけ強い思いがあるということですよね」

「うちの親が市議会のほうで議員をやってるんだよ。それで色々と考えるようになったんだ」

「へぇ、エリートなんですね」

来栖先輩は苦笑した。

「確かにお金持ちの家系が議員になるケースは多いよ。地元の会社の社長とかね。でも、うちの場合は違うんだよ。父親はもともと教師で、生徒の保護者なんかから担ぎ出される形で議員になったんだ」

「それだけ信頼されていた、ということですよね」

「そうかもしれない。でも、地元の議会じゃ結局、できることは限られている。父親の無力感にさいなまれる姿を散々見てきたから、ぼくは官僚を目指そうと思ったんだ」

「実現したい政策とか、あるんですか?」

「あるよ。具体的にはまだ言えないけど」

なんだろう、やけに気になる。

「あとで教えてあげるよ。ちょっと言いにくい事でもあるから」