100均で買ったそれらしい野球帽をかぶっているので、接近した状態ならわからないはずだという自信はあった。

「そもそも、遅くない?こんな時間に配達ってくるのかな」

「夜も配達を行っていますよ。珍しいことではありません」

「じゃあ、荷物は玄関前に置いていってよ」

「そういわれましても困ります。サインをもらわないと。こちら加々美春樹さんのご自宅で間違いありませんよね」

「そ、そうだけど。どこからのもなの?」

「それは個人情報に関わるので、外で口にすることは避けたいんです」

「……」

「早く対応してもらわないと、会社へと連絡することになりますが、よろしいですか。受け取り拒否は場合によっては罪になることもありますけど」

法律のことなんてよくわからないけど、この脅しは効いたようだった。