「お荷物お届けにきました」

そう言ってコンコン、とドアをノックすると、しばらく返答はなかった。

部屋に誰かがいることは間違いない。

電気はついているし、安アパートだから、中から人の雰囲気が伝わってくる。

ちゃんと耳を澄ませたあとだから確実。

「だ、誰?」

「配達のものですけど」

「ぼく、何も頼んでないんだけど、勘違いなんじゃないの」

やっぱり、警戒感が強い。

爆弾魔としての後ろめたさがあるから、そう簡単にドアは開けたくないのかもしれない。

わたしはドアに近づき、全身が見えないようにしていた。

さすがに服装を見られれば、配達員でないことがばれてしまう。