「気のせいかな、最近、悪い夢をよく見るんだ」

「悪い、夢?」

「莉子が、死んでしまうような夢」

「ーーえ?」

「なんかさ、よく覚えてはないんだけど、莉子がとても苦しんでいるような、そんな夢なんだ」

海斗くんは顔を戻し、わたしへと笑いかけた。

「ごめん、変なことを言ったよな。こんな縁起でもないこと、軽々しく口にすらべきじゃなかった。忘れてくれよ」

「具体的にどんなものか、聞いてもいい?」

「いやだから、よくわからないんだよ。どこでとうというわけじゃなくてさ、断片的な頭に出たり入ったりというか」

「……」

もしかして海斗くんは、前の記憶がある?

わたしがベッドで死にかけていたことを、覚えている?