問題は海斗くんを救う方法。

いまのところ、なにも浮かんではいない。

わたしに残されている力は、せいぜいあと数回かもしれない。

気力の衰えからそう感じる。

何度もこの7月17日に戻ってくることはできない。

焦りは強くなるけど、気持ちで負けてはいけない。

わたしがなにもかも諦めてしまえば、海斗くんは死んでしまう。

あの日、あのときの映像が頭によみがえる。

車に跳ねられ、地面に倒れて動かなくなった海斗くんの姿。

その後悔が、いまのわたしを支えている。

「なあ、莉子、お前今日、やけに張り切ってたよな」

部活からの帰り道、海斗くんからはそんな指摘を受けた。