「でも、莉子と自由に会えることも許されなくなるんだろ。それは悲しいよな」

「なら、黙っていたほうが良さそうね。子供はお金には代えられないもの」

両親はおかしそうに会話をしている。

娘が本当に能力者だなんて知りもせずに。

わたしは海斗くんを救う。

救いたいと思っている。

でもそれは、両親を救うことには必ずしも繋がらない。

これまでの計画もすべて、海斗くんだけを救うことを目的としていた。

きっと、何かしらのアイデアが浮かんでも、親しい人、みんなは救えない。

それはもう、仕方がないと割り切るしかない。

わたしも死ぬ。

きっと両親よりも先に。

だから、ごめんなさい、わたしは両親に心のなかで謝るしかなかった。