「それだけ必死なんだよ。研究者には簡単にはなれないんだと思う。働けるならどこでいい、というわけでもないから、トップレベルを目指してるんだよ」

「将来、もし姉さんが研究者とかになったら、会う機会はさらに減るんだろうな。ゆっくりと会えるのはいまくらいなのかもしれないよな」

海斗くんがそう思ってくれるのが一番。

優愛さんに会いたいという気持ちが強くなればなるほど、わたしにとっては好ましい展開になる。

「あと、そうだ。姉さんが莉子に伝えてほしいって言ってたことがあるんだけど」

「何?」

「なんか、お参りを頼むって言ってたけど、なんのことかわかるか?」

「お参り?」

なんだろう、それ。

お参りって、お墓参りのことだよね。

優愛さんと共通する誰かが死んだことなんてあるかな。