この運命の輪を逃れるには、二つの方法があると彼女は教えてくれた。

一つは死ぬ場所には近づかないこと。

これが一番簡単な方法。事故は向こうから近づいてくることはないので、そういう意識を持っていれば簡単に回避できる。

もう一つは自殺。これは事故の回避じゃなくて、ループそのものを終わらせるということ。

もちろん、わたしが選んだのは前者。

自殺の場合は本当に死んでしまう。能力があっても、やり直しはきかない。

中学生のわたしは死の運命を回避し、それから三年後のいま、再び能力が発動している。

前回の記憶は残っている。わたしがなぜ死んだのかも覚えている。

これからどうするべきだろう?

前回のように死を回避する?

それは難しいのかもしれない。

だって……。

「おい、莉子、どうしたんだよ」

隣から掛けられた声に、わたしはハッとした。