覆面の歌姫

ユナオンニから聞くと昨日の夜携帯に
「明日の記者会見どこで何時かるやるのか」と聞かれたらしい。
ユナオンニは、
「寝ようとしたら鬼電かかってきてびっくりした」と笑っていた。


覆面を取って活動することになったものの、音楽番組に呼ばれてもカメラがどこにあるのか分からないのでどうしようか迷っていた。

「やっぱり芸能界は難しいのかな」とユナオンニに相談してみた。

「そんなことないよ!ユナの歌声が必要な人だっているんだから!私とか!」と言ってくれた。

私は暖かい人達に出会えて恵まれてるなと思った。

「カメラを遠くに設置して、カメラマンさんに少しピント外してもらうのは?」とユナオンニが提案してくれて、一回やってみることにした。

私もカメラを気にせずに歌えるし、曲の雰囲気に合わせたセットに力を入れられるようにもなっていいなと思った。

目が見えないことを発表してから、外に出ると
「障害者!」と罵声を浴びることが多くなった。

心無い言葉をいちいち気にしてはいけないのに、私の神経も元気もすり減っていった。オンニにも
「最近笑顔が減ってるけど大丈夫?」と聞かれてしまうほど。
表情管理が出来ていない、プロ意識が足りてないと自分自身を叱ってみるものの…

私の歌を待っててくれる人がいる。私が信じるのは私のファンだけ。分かってはいるのに辛いなぁ。
「はぁ。」会議室に一人でため息をつく。

「元気ないね」

「うわっ!!」

「久しぶりだね」