覆面の歌姫

あれから数年がたった。

お医者さんから視力が戻るかもしれないから手術受けてみないか?と聞かれたことがあった。
詳しく聞いてみると世界でも成功例がまだ2件しかなかったことや払えないことはないけれどとても高額な手術料、自分自身の不安を拭いきれなかったために断念した。

覆面を被っているまま活動を続けていた私だけれど、今ではアルバムも5thも出したりドラマのOSTを担当させてもらったりと活動の幅を広げていた。

BTSさんとは同じ事務所に所属はしているものの、billboard1位を獲得したり、世界を常に飛び回っていてお互いゆっくり話したりすることはできなかった。

「会いたいな…」
エレベーターに乗り込みながらボソッと呟く。

「誰に会いたいの?」

「え?」
私が乗り込んだエレベーターには人がいたみたい。
ぼーっとしすぎて人が気配も気づかなかった…

「で、誰に会いたいの?サナちゃん」
この声…
「もしかして、グクオッパ!?」

「そうだよ。僕はずっと会いたいなって思ってたのに、会えたら今度はサナちゃんが全然気づいてくれないから…」
少しむくれたように言うグクオッパ。

「ごめんなさい」
「最近皆さんに会えなくてずっと寂しかったです」

「そうなの?」

「はい。だからずっと曲聞いてました!ファンクラブも入ったんですけど、残念ながら一回もライブとか握手会当たらなくて…」

「嬉しいなぁ」
「僕もサナちゃんの曲聞いてたよ。ヒョンたちもサナちゃんのアルバム全部買ってるって笑」

「そうなんですね!ありがたいです!」

「今も楽屋はずっとサナちゃんの曲かかってるし。」
「会える回数は減っちゃったけど、そういうところはお互い変わってないね!」



あの日グクオッパと会えてから、心が軽くなった気がした。曲も次々浮かんでくるし、声の調子もよくなった。
「何でだろ…グクオッパのお陰かな?」
オッパ達にはいろんなものを貰ってばっかだ。貰ってばかりの人ではいたくない。誰かに与えられる人になりたい。
「私も変わらないと」


「パンPD、お話があります」

「どうした?」

「覆面を取って活動したいです」

「うん。いいと思うよ」