稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 今日も前回と同じオレンジ色のドレス。違うのは、コサージュの種類だ。
 胸元には、大きな薔薇の花のコサージュを左肩に近い位置に付けている。花からは少し色味が違うオレンジのオーガンジー生地で作ったリボンがふわりと降りている。リボンを使っているにも関わらず、薔薇の花が主役となっているため、少しも子供っぽさを感じさせない。
 スカートの切り返しの部分にも、同じオーガンジー生地で作ったリボンを飾っている。
 同じドレスだけれど、印象は全く違うはずだ。
 お兄様は今日もエカテリーゼ様をエスコートするために一足先に出ている。
 会場に入る。本当はすぐにでも庭に出てあづまやに向かいたいことろだったけれど、婚約者探しをまるっきり放棄するつもりはない。
 お父様の気持ちに答えられるように……できれば5人はアレルギーチェックしたいところ。
 どなたに近づいてみようかと、入口から奥へと足を進めていると、男性が1人近づいてきた。
「お名前をうかがっても?」
 ニコリとほほ笑む男性。
 くしゃみは出ない。息も苦しくない。
「リリーですわ」
「リリー嬢、少しお話させていただいても?」
 男性が差し出した手に、手を重ねる。
 痒くならない。すこし鼻がムズムズっとしているけれど、それだけだ。
「あの、あなたは?」
 これだけアレルギーが少なければ、一緒に生活することができるかも……。
 子供は別の女性と作っていただいてもいいですし、養子をとってもいい。
 ちょっと希望が見えたところで、他の男性が彼の後ろから現れた。
「おいおい、バズリー、お前にはすでに婚約者がいるだろう?いくらこちらのご令嬢が美しくて心を奪われるからと、浮気は駄目だろう?」
 婚約者がいる?
「あはは、いや、浮気とかそんなつもりじゃ……。一人で不安そうにしているから、話し相手になって差し上げようと……」