稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「いえ、これはこのままいただくわ。改良したものは、また後日見せていただければ構わないの。ああそれと、騎士様や兵の方など任務地でボタンなどが取れて困る方もいるでしょう。男性が携帯してもおかしくないデザインも考えていただけると良いと思いますわ。そうですわね、持ち歩いても邪魔にならない……ベルトのバックルに付けられるとか何かアイデアはないかしら」
 エミリーが持っていても大丈夫なもの。
「まぁ、流石ですわ。リリーシェンヌ様は本当に発想力が素晴らしいです。そうですわね、縫物は女性の仕事が基本とはいえ、男性が自身で行う必要がある場面もありますわよね!女性用とともに、男性用もいろいろと考案してみようかと思います」
 デザイナーがワクワクと目を輝かせながら帰っていった。
 手元に残った……名前は何と呼べばいいだろう。携帯用裁縫セット?鋏代わりの糸切り道具と針だけでセットというほどの物ではないけれど。
 木製の小指2本ほどの道具。
 パッと見何か分からない。かわいいわけでもない。そうだ、逆に男らしい感じの見た目にすればいいんじゃない?
 カッコいいものを書いたらどうかしら?
 ……数分後。

「リリーシャンヌお嬢様、これは魔除けの何かですか?」
 メイが私が道具に書いた絵を見て尋ねてきた。
 ……そうね。確かにそう見えないこともない何かが描かれている。
 ……刺繍の図案は上手に描けるから、私、絵心があると勘違いしていたわ……。
 ちょっと怖い何かが書きあがっている。カッコいいを目指したはずなのに……。何これ。
「そ、そう。魔除けのお守り?の、ような?」
 もういいや。このまま、魔除けの紋様も裏に書き込んでおこう。お守りなら持っていても逆に不審がられないはず。
 うん、ナイスアイデア。身から出たサビ……じゃなない、万事塞翁が馬?