稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「ロバート、お前にはしばらく領地へ行ってもらいたい。本来ならば私が行くべくだが……王都を離れられない理由ができた。私の代わりに行ってほしい。」
 毎年、お父様は王都から馬車で2日ほどの領地へ1カ月ほど向かい仕事をする。半年に1度のペースだ。
「王都を離れられない理由って何ですか?どうして突然」
 お兄様が動揺している。
「お前も、ゆくゆくは公爵となって領地を治めなければならないから、勉強だと思って行ってくれるか」
 王都を離れられない理由をお父様は口にしない。本当に理由があるのか、ないのか分からない。
 単に、エカテリーゼ様と一緒にいたいということでお兄様がここ数回、お父様との領地行きを断っていたので業を煮やしたのか。
 本当に何らかの事情があるのか。
 お父様の表情を見る限り、今回ばかりは何を言おうとも覆りそうにない。
「エカテリーゼのエスコートが……」
 お兄様も分かっているはずなのに、小さく呟きを漏らす。
「うむ。そろそろいいんじゃないか?ロイホール公爵夫人の舞踏会は次回が最後でもいいだろう。お前が、ゆくゆくは公爵夫人になるエカテリーゼに舞踏会を経験させ勉強してほしいと頼まれて出席を許してきたが、本来は婚約者のいない者が参加する場だ。毎回行く必要もないだろう。他の舞踏会も、公爵家が顔を出すに値しないものは断ればいい。そうすれば、年に4、5回ほど参加すれば問題なかろう」
 年に4、5回。私からすれば、それでも大変そうに思うけれど、エカテリーゼ様は社交好きなので満足するかしら。

 ロイホール公爵夫人の舞踏会以外でも、お兄様は月になんどか舞踏会へと出かけて行っているもの。
 公爵家にはたくさんの招待状が届く。昔はせっせと断りの手紙を出していたようだけれど、今はエカテリーゼ様が行きたいという招待を受けるようにしている。