稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「あ、いえ、結構よ。その……王妃様に提案なさるのでしょう?王妃様がこれはちょっとねとおっしゃったものを身に着けるわけにはいきませんもの」
 ほほほと、適当に言い訳をする。私はむしろ身元が分かるようなものを身に着けるわけにはいかない。
「確かに……それでは、本日はアイデアをご提案いただくために声をかけてくださったのですか?」
 本当はかわいい動物が刺繍されたドレスを注文するつもりだったのだけれど、ちょっとその流れではなさそう。王妃様が絡んでくるとなると、ヘタなことはしない方がいいだろう。
「実は、こういったものがが作れないかと……。コサージュでも安全なピンを開発してくださったでしょう?ですから、作れないかしら?」
 考えに考えたものを、下手くそながら絵にしたものをデザイナーに見せる。
「これは?」
 絵だけでは当然なにか分からないので、身振り手振りも合わせて説明する。

「なるほど、ポケットに入るようなサイズで、全てが収まる……それは新しいですね。むしろもっと小さくしましょうか。針の長さがあれば問題ないでしょうから」
「そうね、そうね、とすると……もしかして、男性の上着のポケットにも収まってしまう?」
「そうですね、袖の折り返しの部分にも収まるでしょうし、ベルトの一部に……と、女性が持ち歩くのですよね?」
 しまった。エミリーが持ち歩く前提なんて言えないんだ。
「え、ええ、そうね」
「細工師に早速相談します。10日ほどお時間をいただけますか」
 10日なら、次の舞踏会に間に合う。
「ええ。お願いするわね」

「ロバート、エカテリーゼ嬢との関係はどうだ?」
 次の舞踏会まであと数日というところでお父様が夕飯の席で唐突に切り出した。
「問題なく仲良くしていますよ」
 お兄様の答えに、お父様がうんと頷いた。
「なら、しばらく会えなくても問題ないか」
「は?どういうことですか?」