稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「おかしなことをお尋ねになられますね?それはもちろん、今日もおいしそうなお菓子だわ。あとで娘の分も料理長にお願いしていただこう、です」
 くっと、思わず笑いが漏れる。
「ああ、そうだったわね。ふふふ。でもね、そうなのよ、おいしそうなお菓子だって、私も今までなら思っていたと思うのよ」
「今までは?もしや、リリーシェンヌお嬢様、太りそうだと思ったのですか?お嬢様は細すぎるくらいですから、食べても問題ありませんよ?」
 太る……?そういえば、お菓子にはそういう側面もあったわね。全然思いつきもしなかった。
 というか、その発想もそもそも食べること前提よね。
「そうじゃなくてね、かわいいと思わない?」
「かわいい……ですか?」
「ええ、そう。見た目がかわいいの。私も今までおいしそうだなぁとしか思わなかったけれど……友達になった方が見た目がかわいいわよねって。言われて初めて気が付いたの」
 メイが改めてお皿の上に載ったお菓子を見た。
「ああ、確かに、可愛らしいですね。クリームがレースみたいに見えますし、フルーツがカラフルで小さな花束みたいです」
 なるほど。フルーツが花束みたいか。うん、確かに確かに。
 エミリーなら、かわいすぎて食べられなーいっていうかしら。それとも……。
 口を開けてごらんなさい。食べさせてあげるわって……。ああああ、何を想像してるの。
 ちょっとそうして食べさせてほしいなんて思ってなんか……ううん、ちょっと思ったけど。
「ふふふ、そのお友達のことを思い出してるの?リリー」
 メイが、私のことをリリーと呼んだ。
 ……お母様をなくして寂しがっている私に、お母様代わりは無理だけれどお姉さんだと思ってと。そう、慰めてくれるときだけ距離を縮めてリリーと呼んでくれる。