稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 大丈夫と心配してくれたり、他の人にバレそうになったら庇ってくれたりすると思う。
 ローレル様はそういう方だ。もちろんエミリーだって。
「だったら、話をしてもいいんじゃないか?」
「ありがとう、お父様!」
 エミリーに話そう。そして、ロイホール公爵邸で舞踏会が行われなくなったら、うちで舞踏会を開こう。迷路の奥にはあづまやはないけれど……。ああ、今からお父様にお願いして作ってもらおうかしら。
 男性が入って来られない、友達とだけおしゃべるできる場所が欲しいみたいな言い方をすれば大丈夫かしら?
 まって、ダメ。それだと、エミリーとお話しているときに、お父様なら「どれどれリリーの友達に挨拶をしに行くか」とかいって、来る。
 絶対に、来る。
 むしろ、友達とどんな感じで交流しているのか気になってそわそわして、近くに様子をうかがえる場所さえ作りそうだ。
 ……うちに、招くのもかなり危険……?
 どうしよう。うーん。


「ねぇ、メイ」
 舞踏会から数日は、エミリーとの楽しいおしゃべりを思い出して心がポカポカしていた。
「なんでしょうか、お嬢様」
 侍女のメイがお茶を用意してくれている。
「今日のお菓子を見てどう思う?」
 今日は、柔らかいクッキー生地に生クリームをはさんで3段に重ね、その上にクリームとフルーツを載せたお菓子だ。
 ケーキほど柔らかくはないけれど、しっとりずっしりしたクッキーがとてもおいしいお菓子だ。
「リリーシェンヌお嬢様、お気に召しませんでしたでしょうか?」
 メイが首を首を傾げた。メイは、10年前から私付きの侍女として働いてくれる25歳になる子爵家の3女だ。5歳になる娘がいる。
「ううん、そういうことじゃないの。見てなんて思うかしら?」