稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 リリーの様子を思い出す。あまりに可愛らしくて、かわいいしか感想が出てこなかったけれど、仕草はとても優雅で上品だったわ。
 あれは庶民ではなく、教育を受けた貴族のものよ。学園に通えてないにも関わらず、きちんと親御さんは教育したのだ。
「あら、じゃぁ、何の問題もないじゃないの?」
「いえ、そういう問題じゃなくて……もっと、その、問題があるんです!」
 男性アレルギーという体質的な問題。
 世継ぎの問題だって何にも解決してない。
 それに……リリーには王妃教育だとか苦労はさせたくない。
 いくら貴族として基本的な教育を受けていたとしても、王妃教育はとにかく厳しいものだと聞く。そりゃそうだろう。私も、王になるための教育を受けてきたけれど、それはもう大変の一言に尽きた。姉さんも、王女として厳しく教育されていた。最低でも3か国語は流暢に話せなければならない。各国の要人を招いて失礼が無いようにそれぞれの国の風習も頭に入れなければならない。婚約者候補に挙がるように家の令嬢であれば、小さなころから学んでいることもあるけれど。今から数年で学ぼとすればとても大変なことになる。
「な、なんだ、年齢的にその、かなり下だとか?いや、逆に上か?」
 父上の言葉に続けて弟が口を開く。
「もしかしたら、人妻?」
 それに続けて母親も口を開いた。
「もう、貴方たちったら、シェミリオールのことよ?王室に対する不満を持つ家の者っていう発想はないの?もしくは隣国のご令嬢だとか……そういう意味で問題だと思っているのかもしれないじゃない」
「おお、そうだな。不満を持つ家の者ならこれを機に親しくできるかもしれぬし、隣国との関係も」
 違う。違う。
「とにかく、彼女と結婚するために、僕は皇太子の地位を返上したい。彼女は、王妃としては幸せになれない。だから……」
 そこまで言うと父上が怒りだした。