稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 そっと、母上の手が伸び、優しくふんわり抱きしめられていた。
「兄上、でしたら、世継ぎの問題も心配がいらなくなるでしょう、むしろ、僕に皇太子を譲る理由が一つなくなるではないですか!」
 弟も嬉しそうな顔を見せる。
「どこの誰だ?」
 父上だけは、冷静に私に問い返した。
「それは、まだ言えませんが……。僕は彼女に苦労をさせたくありません」
 私の言葉に、母上が顔を上げた。
「私は、苦労など……しておりませんよ。陛下によくしていただいて、幸せです。シェミリオール、貴方の愛があればきっとその子も幸せになれますよ」
 ニコリと母がほほ笑む。
 違うんだ。違うんだ。
「母上とは違います……」
 酷い男性アレルギーを持ったリリー。公務で外国の要人と接する場面でアレルギーが出ることもあるだろう。国のためにとリリーの性格なら熱を出そうとも息が苦しくなろうとも我慢してしまいそうだ。
 そんな苦労はさせたくない。
 それに……子供はまだかなんて言われることも出てくるはずだ。
 そんなこと言われても。言われたって。私とリリーの間に子供なんて……。
「……もしかして、家柄に問題があるということか?下級貴族……いや、もしかして侍女や下働きにでも惚れたか?」
 父上が難しい顔をした。
「大丈夫よ、シェミリオール!養女にしてしまえばいいわ。そうね、うちの実家に頼みましょう、きっとかわいいシェミリオールのためだもの、すぐに受け入れてくれるわ!」
 母上の言葉に、父上も表情を戻した。
「そうだな、養女として受け入れるだけではなく、淑女教育もしてもらえるだろう。婚約者として発表する前に、最低限の貴族らしさを身に着けてもらえば問題なかろう」
 問題よ、問題!だから、問題は何一つ解決してないわ!
「彼女は貴族として教育を受けています」