「そうだ。長男が王位を継ぐ。世継ぎが生まれるか生まれないかなどいつの世も分からぬことだ。結婚しないことは皇太子の座を退く理由にはならぬ。長男が跡継ぎになる原則を覆すようなことを王室がするわけにはいかぬ。もしそんなことをしてしまえば、貴族の間にも世継ぎ問題が次々と勃発することくらい、お前なら分かっているはずだろう、シェミリオール」
分かっている。
「あくまでも原則ですよね。陛下、私には皇太子たる資質がないと陛下が一言そう言っていただけば」
母上が悲鳴のような声を上げる。
「貴方に資質がないはずがないわ!」
心が女だということを、普通の男と違うことをうすうす感じ取っている母上。
私が王となる資質がないなど、絶対に言われたくないのだろう。
「そうです、兄上。兄上こそ次に王になるのに相応しい才覚を持った人ですっ!」
「いや、お前も十分優秀だよ」
弟の肩を叩こうとしたときに、陛下の声が上がる。
「シェミリオール、長男に生まれた責務を放棄する気か」
低く、怒りを抑えたような声だ。
責務を放棄……。無責任に投げ出そうとしている、そう思われても仕方がない。だけれど……。
「そう、思われても仕方がありません。ですが、今回は僕も譲るわけはいかない事情ができました」
「今回は?どういった理由だ?」
陛下の声がさらに低くなる。
くだらない理由なら許さないぞという圧が込められていた。
「婚約したい女性ができました」
その圧に負けないように、陛下……父上の目をまっすぐに見て告げた。
「まぁ、まぁ、まぁ……そうなの、シェミリオール……好きな女性ができたということ、そうなのね……
母上が泣き出した。
私の心が男と違うんじゃないかと心配していた母上にとっては、女性が好きだということがちゃんと男だったという証明みたいなものだと感じたのかもしれない。
「よかったわね、よかったわ……」
分かっている。
「あくまでも原則ですよね。陛下、私には皇太子たる資質がないと陛下が一言そう言っていただけば」
母上が悲鳴のような声を上げる。
「貴方に資質がないはずがないわ!」
心が女だということを、普通の男と違うことをうすうす感じ取っている母上。
私が王となる資質がないなど、絶対に言われたくないのだろう。
「そうです、兄上。兄上こそ次に王になるのに相応しい才覚を持った人ですっ!」
「いや、お前も十分優秀だよ」
弟の肩を叩こうとしたときに、陛下の声が上がる。
「シェミリオール、長男に生まれた責務を放棄する気か」
低く、怒りを抑えたような声だ。
責務を放棄……。無責任に投げ出そうとしている、そう思われても仕方がない。だけれど……。
「そう、思われても仕方がありません。ですが、今回は僕も譲るわけはいかない事情ができました」
「今回は?どういった理由だ?」
陛下の声がさらに低くなる。
くだらない理由なら許さないぞという圧が込められていた。
「婚約したい女性ができました」
その圧に負けないように、陛下……父上の目をまっすぐに見て告げた。
「まぁ、まぁ、まぁ……そうなの、シェミリオール……好きな女性ができたということ、そうなのね……
母上が泣き出した。
私の心が男と違うんじゃないかと心配していた母上にとっては、女性が好きだということがちゃんと男だったという証明みたいなものだと感じたのかもしれない。
「よかったわね、よかったわ……」

