稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 何を言っているの、私ったら。一人で暮らしたいと思っていたわよね。
 どうして、リリーと一緒に暮らしたいなんて言っちゃったのかしら……。
 ハンカチに視線を落とすと、リリーのRの文字が目に入った。そっと、指先で触れてみる。
「リリー……」

★エミリー視点2★
 きゃぁーっ!どうしましょう!
 どうしましょう!
 つい、つい勢いで……婚約してほしいって言っちゃったわ。
 ん?まって、なんて言ったんだっけ。婚約しましょうだったかしら。
 私、言葉選び間違ってない?
 婚約したかったんだから、婚約してほしいってちゃんと言わなくちゃいけないのに……。
 伝わったかしら?私が婚約したいって思ったってこと。
 ああ、だめ、駄目よ、だめだめ!
 伝わっちゃだめなのよ!
 女同士の女友達なのに、なのに、婚約したいと思ったって、おかしいわよね。
 だって、男同士だと置き換えてみるでしょ。
 ロバートがディックと婚約したいと思っているって想像しただけで……うわぁぁぁぁぁよ。うわぁぁぁ。
 ないわ。何なのそれって。
 そうよ、もし、私と婚約したいってディックが言ってきても、うわぁぁよ、うわぁぁぁ……ん?
 あれ?うわぁ?
 あれ?ディック、女から見たらいい男なのよね?
 美男子だし、鍛えて引き締まった体しているし、性格も悪くないのよね。
 私……特に女として見ても、全然ディックに魅力を感じたことはないわね、そういえば。
 ……むしろ、汗臭くて、嫌よ。
 友達としてはいい奴だけれど、恋人にはぜぇったいしたくないわ。ときめきなんて絶対ありえないわ。
 むしろ、リリーのようにかわいい女の子にときめくわ。
 ……あら?
 だって、かわいいものが大好きなんだもの。
 かわいいものをみると、はーとがきゅんきゅん、どきどきするんだもの。
 べ、別におかしなことじゃないわよね?