稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 男に裸を見られるなんて、乙女として恥ずかしくない方がおかしいでしょう?しかも、体を隅々まで現れるのよっ!
 何の拷問よ!
 自分のことは自分でなるべくしたいと説得して、風呂も着替えも身の回りのことは一人でさせてもらってるわ!
 というか、従者で不満があるならば、侍女に替えようかとも言われたのよっ。
 それって、つまり、男として侍女に色々面倒見てもらえって話は、つまり……ダメよ、ダメ。これ以上は考えちゃだめなのよっ!
 そんなこと、とても受け入れられるわけないわ!男に裸を見られるのも拷問だけれど、男として女に色々されるのも拷問よっ!
 ただでさえ、この体を持ち余しているというのにっ!
 まぁ、とにかく、お風呂も着替えも一人でしているおかげで、ハンカチが見つからずにすんでいるの。
「ああ、細かく繊細に編み込まれたレースのなんと愛らしく美しく可愛らしいこと……」
 光に透かして見ても、遠くに話してみても、近くでじっくり見ても、きゅんです、きゅんっ。
「この、花の刺繍も素敵。リリーは刺繍が上手ね。お姉様がしていた刺繍は、これに比べればとても刺繍と呼べるものではなかったわね……」
 ピンクの小さな花が散らされている。これまたなんてかわいいのかしら!薔薇や牡丹のような迫力のある花ではないところもまた素敵よ。
 手に乗るくらいの小さなハンカチ一つで、こんなに胸がいっぱいになって楽しいんだもの。
 かわいいものに囲まれて暮らしたら、どれほど幸せなのかしら……。
 目をつむって、飾り気のない天蓋がレースで飾られているのを想像する。
 それからカーテンは、淡いクリーム色に、リリーがハンカチに施したような、小さなピンクの花が入った物がいいわ。
 ベッドは猫足にして、白く塗ってもらいましょう。
 ああ、素敵。
「どこかで可愛いものに囲まれてリリーと一緒にで暮らしたいわ~」
 あら?
 あらら?