稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「今日も飛び切り可愛いわ。もう、本当に、今すぐ食べちゃいたいくらいっ」
 ああ、エミリーだ。エミリーだ。私の大好きなエミリーだ。
「殿下っ!やめてください、リリーを離してくださいっ」
 お兄様が私と殿下を引きはがそうと殿下の肩をつかみ、ローレル様が私と殿下の間に腕を入れて、私をきゅっと抱きしめた。
「大丈夫リリー?」
 ローレル様が私のことを心配してくれるのが嬉しくて、ローレル様にぎゅっと抱き着いた。
「ロバート、さっき婚約者でもないのにと言っていたが、プロポーズをして受け入れてもらったから、もういいだろう?」
 殿下の言葉に兄がキッパリと口を開いた。
「私は、元婚約者であるエカテリーゼ嬢にたいして、人前でも一目の無いところでも抱きしめるようなことはしませんでした」
「ロ、ロバート……」
 シェミリオール殿下が複雑な表情を見せた。
「まぁそうだな。いくらプロポーズをしたからと言っても、正式に婚約するのは陛下や宰相殿の許可を得て、神殿での手続きを経てからとなる」
 ロイホール公爵がさっと右手を上げると、音楽が鳴り始めた。
「さぁ、今日の主役が踊らなくては他のものも踊りにくかろう」
 髭を撫でながらニコリと笑うロイホール公爵に背中を押された殿下が、私に手を差し出した。
「1曲お相手していただいても?」
「もちろん」
 2人で手を取り合ってダンスホールの中央へと歩み出る。
 すぐに、心配そうな顔をしたお兄様の腕をローレル様がつついた。
「お相手をお願いします」
 慌ててお兄様がローレル様に手を差し出した。
「はい」
 と、ローレル様が受けると、私たちの近くにやってきた。
「殿下、リリーは体が弱いんだから、無理をさせないでください」
「リリー、気分が悪くなったらすぐに言うのよ?相手が殿下だからって遠慮することないわ」
 2人が踊りながら私たちに声をかけてくれた。