手のひらにすっぽりと収まる木でできた何か。その頭の部分の一部だけが手から飛びだして見えている。
「これは、私がハンカチやブーケ・ド・コサージュと同じように大切にしていた物で、肌身離さず戦地にも持って行ったものだ」
殿下の手に握られた者は、ミニ裁縫セットだ。
蓋を開けると針と糸が出てきて、糸を着るための刃がある。
そうして、可愛い動物の絵を書こうとして……。
「きっと、愛する者から贈られたのだと思う。贈った本人であれば、これが何か分かるだろう?」
手を前に突き出して2人に見せる。
「そ……それは……」
ローレル様が言葉に詰まった。
エカテリーゼ様がそれを見てとっさに声を上げる。
「お、お守りですっ。戦地に向かわれる殿下にお守りをっ」
お守りと言う言葉を聞き、殿下が手のひらを開いて皆に隠していた部分を見せた。
「何だあの絵は……」
「魔除けのお守りか?」
「本当にお守りだったのか?だとすればエカテリーゼ様が本物の……!」
「ローレル様は嘘をついたということか?」
「ローレル嬢は皇太子妃の地位を奪おうと?」
ローレル様を責めるような言葉が会場からは上がる。
酷い。違うのに。むしろ国を救おうと……。
■
「どこでブーケ・ド・コサージュを手に入れたのか分からないけれど、残念だったわね。嘘付ローレル様」
エカテリーゼ様が再びシェミリール殿下の腕に手を回しながらローレル様を見下ろした。
「ちょっと、さっさとこの嘘つき女を会場から追い出しなさい!」
エカテリーゼ様の言葉に、従者が戸惑いながらも、ローレル様に声をかけた。
酷い。酷い。
いいえ、いいえ、いいえ!
本当に酷いのは私だ!
「ローレル様を離してください。魔除けのお守りじゃないわ。嘘つきはエカテリーゼ様の方よ。あれは、あれは裁縫道具よっ」
「これは、私がハンカチやブーケ・ド・コサージュと同じように大切にしていた物で、肌身離さず戦地にも持って行ったものだ」
殿下の手に握られた者は、ミニ裁縫セットだ。
蓋を開けると針と糸が出てきて、糸を着るための刃がある。
そうして、可愛い動物の絵を書こうとして……。
「きっと、愛する者から贈られたのだと思う。贈った本人であれば、これが何か分かるだろう?」
手を前に突き出して2人に見せる。
「そ……それは……」
ローレル様が言葉に詰まった。
エカテリーゼ様がそれを見てとっさに声を上げる。
「お、お守りですっ。戦地に向かわれる殿下にお守りをっ」
お守りと言う言葉を聞き、殿下が手のひらを開いて皆に隠していた部分を見せた。
「何だあの絵は……」
「魔除けのお守りか?」
「本当にお守りだったのか?だとすればエカテリーゼ様が本物の……!」
「ローレル様は嘘をついたということか?」
「ローレル嬢は皇太子妃の地位を奪おうと?」
ローレル様を責めるような言葉が会場からは上がる。
酷い。違うのに。むしろ国を救おうと……。
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「どこでブーケ・ド・コサージュを手に入れたのか分からないけれど、残念だったわね。嘘付ローレル様」
エカテリーゼ様が再びシェミリール殿下の腕に手を回しながらローレル様を見下ろした。
「ちょっと、さっさとこの嘘つき女を会場から追い出しなさい!」
エカテリーゼ様の言葉に、従者が戸惑いながらも、ローレル様に声をかけた。
酷い。酷い。
いいえ、いいえ、いいえ!
本当に酷いのは私だ!
「ローレル様を離してください。魔除けのお守りじゃないわ。嘘つきはエカテリーゼ様の方よ。あれは、あれは裁縫道具よっ」

