稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「ローレル様……私のために怒ってくださってありがとうございます。ですが、兄に悪気はないのです……本当に私には問題があって……」
 ローレル様が私の顔を見た。
「そう、思い込まされてしまったのではないの?不遇な扱いを受けているのなら」
 首を横に振る。

「ローレル様、私……」
 私のために怒ってくださるローレル様がこのことを知ったからって馬鹿にしたり言いふらしたりするはずはない。
「男性アレルギーなのです……」
「え?」
 ローレル様がきょとんとした顔で私を見る。
 お兄様の手を取り、私の手首にふれさせた。
「……男の人が苦手だと言っていましたが……本当はアレルギーがあるのです。家族であるお父様やお兄様にすら……」
 お兄様の手をどかして手首を見せると、頬紅を乗せたようにうっすらと赤くなっている。
「アレルギーが強く出る人には、側にいるだけで呼吸が苦しくなります。もし触れられれば、赤くかぶれ、全身に発疹が出て熱が上がり倒れてしまうこともあります……」
 ローレル様が目を丸くして驚いている。
「会場で気分を悪くしていたのは……そのせいで……?」
 ローレル様が漏らした呟きに、頷く。
「はい。アレルギーが強く出る方に、腕をつかまれてしまって……体も寄せてこられ、その……あの時は助けていただいて」
 ありがとうございましたとお礼を言おうとすると、ぎゅっとローレル様に抱きしめられた。
「大変だったわね。今まで、とても色々と苦労したでしょう……!……ご家族にもアレルギーが出てしまうなんて……。こうして、誰がリリーシェンヌ様を抱きしめてあげたの?お母様が生きていらっしゃれば……」
 暖かい……。とても、暖かくて。
 ずっと、こうしていたいと思っていたら、すぐにローレル様は体を離した。
「だからなのね?男性アレルギーがあったから、だから……」