「今、お兄様が客間にお通ししたのですが、そのままリリーシェンヌ様にお会いしたいと……その約束を忘れてしまったのかと機嫌を悪くされているようでして……」
テーブルに刺繍をさしていた布を置くと、慌てて立ち上がりドアを開く。
「約束?お会いする約束はした覚えは……」
もしかしてここ数日ずっとぼんやりしていて忘れていた?
どうしよう。
ローレル様に嫌われたくない……。
と、思っていると、廊下から足音と話し声が聞こえてきた。
「ローレル嬢、妹が約束を忘れていたのだとしたら私からも謝ります、すぐに呼んでまいりますので」
お兄様の声だ。
「体調を崩しているのでなければ、すぐにお会いしたいのです、どうぞお構いなく」
ローレル様の声にはとげがあるような気がする。本当に怒っている?
すぐにバタンと勢いよくドアが開き、鮮やかなエメラルドグリーンの細身のドレスを身にまとったローレル様が現れた。
胸元から背中にかけて、布で作った花があしらわれ、スカートにはレースがあしらわれている。
普段着でも外出着でもない。
ローレル様は明らかに、舞踏会……パーティーへ参加するための装いだ。
■
「あの、ローレル様……どうしてこちらに?」
お兄様は、戸惑いながらも侍女にお茶の用意などを指示し、私とローレル様を二人だけにするとまずいと思ったのか部屋の隅に控えるようにして立った。
「ロイホール公爵邸のパーティーに皇太子殿下がいらっしゃったわ」
ドキリと胸が痛む。
「そして、婚約が決まりました。いえ、決まるでしょう。宰相が認め、陛下に報告に向かいました」
婚約が、決まった……?
覚悟していたことだとはいえ、心臓のバクバクという音が、耳に、頭に、響く。
「そ、そう……です……か」
「ローレル嬢が婚約者に選ばれたとうことですか?」
兄が声を上げる。
テーブルに刺繍をさしていた布を置くと、慌てて立ち上がりドアを開く。
「約束?お会いする約束はした覚えは……」
もしかしてここ数日ずっとぼんやりしていて忘れていた?
どうしよう。
ローレル様に嫌われたくない……。
と、思っていると、廊下から足音と話し声が聞こえてきた。
「ローレル嬢、妹が約束を忘れていたのだとしたら私からも謝ります、すぐに呼んでまいりますので」
お兄様の声だ。
「体調を崩しているのでなければ、すぐにお会いしたいのです、どうぞお構いなく」
ローレル様の声にはとげがあるような気がする。本当に怒っている?
すぐにバタンと勢いよくドアが開き、鮮やかなエメラルドグリーンの細身のドレスを身にまとったローレル様が現れた。
胸元から背中にかけて、布で作った花があしらわれ、スカートにはレースがあしらわれている。
普段着でも外出着でもない。
ローレル様は明らかに、舞踏会……パーティーへ参加するための装いだ。
■
「あの、ローレル様……どうしてこちらに?」
お兄様は、戸惑いながらも侍女にお茶の用意などを指示し、私とローレル様を二人だけにするとまずいと思ったのか部屋の隅に控えるようにして立った。
「ロイホール公爵邸のパーティーに皇太子殿下がいらっしゃったわ」
ドキリと胸が痛む。
「そして、婚約が決まりました。いえ、決まるでしょう。宰相が認め、陛下に報告に向かいました」
婚約が、決まった……?
覚悟していたことだとはいえ、心臓のバクバクという音が、耳に、頭に、響く。
「そ、そう……です……か」
「ローレル嬢が婚約者に選ばれたとうことですか?」
兄が声を上げる。

