稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

「そうだな。だが、名乗り出てくることもある。どんな女性が名乗り出ようと、立派な皇太子妃になってもらわなければな。それが臣下の務めだ。偽物も多いからな。まだしばらくは見極めるための調査などで忙しくなりそうだ」
 お父様はそう言うと、疲れた様子で立ち上がり仕事に向かった。
 名乗り出ることはない……。そうならば、ローレル様がこのまま……。

 1週間ほどたった。相変わらず、殿下の思い人の本物だと思われる人物は見つかっていないとお父様がもらした。
「そろそろ名前にRのついているご令嬢も底をついたのか、最近は私ですと名乗り出る人物も減ってきたよ」
 仕事も少し落ち着いたらしい。
「今度は、来週行われるロイホール公爵邸で該当者探しだ」
 朝食にお父様から殿下の話が口に出るたびに、まだ胸が痛む。
 ロイホール公爵邸で該当者を……。
「殿下が足を運んでいて女性と出会う機会がある場所……それも名乗り出られない事情があるような女性ということなら、使用人である可能性もあるからね。もしかしたら女性側から何らかの接触があるかもしれない」
 聞き取りを広く行うと、殿下が鉢植えを準備してもらい通路をふさいだこととかバレてしまう。
 そうすると……私のことも分かる?
 ……ああ、もし、私のことがバレたならいいのに。
 馬鹿だ。馬鹿なんだ、私。
 私は名乗り出ない方がいいと思って、ローレル様の方がふさわしいと思って……会わないと決めたはずなのに。
 でも、心のどこかで、私を見つけてほしいと思っている。
 そのRはリリーシェンヌのRなのにって思っている。
 お兄様もお父様も何故気が付いてくれないの?……って。気が付いてほしいなら自分で言えばいいのに。言えないくせに。逆恨みしたり、自分で自分の心が分からない。
 辛い。やはり……。
 私は……。
 修道院に行ったほうがいいんじゃないかな……。