稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 情報が無いんだけれど。……逆に、ローレル様たちにきけばお兄様には近づけない方がいい人のこととか教えてもらえるのかしら?
 そうだわ。その情報収集や、戦争中にお世話になったお礼もしなければいけないし、近いうちにお茶会を開きましょう。
 きっと……こうして色々なことをしていれば……。
 心も、楽になっていく……わよね?
 屋敷につくと、疲れたからと着替えを済ませると部屋で一人でベットに横になる。
 侍女のメイが心配そうに部屋を出て行った。
 枕に顔をうずめると、途端に涙があふれてくる。
「エミリー……エミ……リー」
 声を殺して無く。
 好き。
 大好き。
 ねぇ、エミリー……私は、エミリーの何もかもが好きだった。
 男性アレルギーが出ない男性としても、可愛い物が大好きな女性としても。友達として異性として……。
 恋、してた。
 どこの誰でもよかった。皇太子だということを知って驚いたけれど……好きだから。皇太子妃として待ち受ける苦労もエミリーと一緒ならばきっと幸せの方が勝るのだろうと思った。
「好き……よ、エミリー……」

 次の日の朝、お父様が疲れた顔をして朝食の席についた。
「随分お疲れのようですね、父上……」
 お兄様の言葉に、お父様が珍しく深いため息をついた。
「ああ、皇太子の思い人は自分ではないかと言い出す者が多くてな……。イニシャルがRというだけで自分だと主張する者の多いこと……」
 ドキリと心臓が跳ねた。
 シェミリオール殿下の思い人だという人がそんなに現れているの?
「馬鹿だな。イニシャルがRだっていうだけなら、リリーや私もRだというのに」
 お兄様の言い方では、私がそのRの本人だとは全く気が付いていないようだ。
「そうですわね……。ローレル様もイニシャルはRですし……」
 動揺しているのを悟られないように、会話を続ける。