稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 あれは、エミリーと同じ顔をしている、別の人だ……。
 同じ顔をしているのに別の人……。辛い。辛い。会うのが、辛い。エミリーの姿形、声をしているのに……。
 私のことを知らない人。

「次のパーティーには……行けませんわ……」
 戦争が終結するまでしばらくパーティーは開催されていなかった。
 けれど、戦争は終わったのだから、近く開催されるのだろう。
 お兄様が息を吐きだした。
「ああ、そうだな。流石にすぐ次のは……。婚約解消してすぐに別の女性を探していると思われるのもあれだな。3カ月くらいは様子を見た方がいいだろうな……。顔も……合わせずらいだろう」
「え?顔を合わせずらい?」
「エカテリーゼも参加するだろうからね。彼女はああいう場が好きだったから」
 ああ、エカテリーゼ様がお兄様と顔を合わせずらいということか。びっくりした。私がシェミリオール殿下の顔を見るのが辛いと思っているのを見透かされるわけないのに。
「いっそ、うちで開くか?招待客を厳選して。女性に対してあまり良い噂を聞かない者は招待しない。よい評判を聞くものは、爵位が低い者も……招くとか」
「え?」
「リリーがなるべく相手を見つけやすい環境を整えて開くのも良いだろう。もう、公爵令嬢であると顔は知れ渡ってしまったのだから、うちで開くのが一番安全だろ?」
 うちで開いたら、エミリーとは会えなくなってしまう……と、思っていたけれど。今は……。エミリーと会うことが無い方が良いのかもしれない。でも、私は相手を探そうなんて思わないんだけどな……。でも、お兄様の相手を探す必要はあるのよね。
「招待したい人、したくない人はリリーも考えてほしい」
 え?
「あの、ローレル様とアンナ様とハンナ様、それ以外は私……あまり分からなくて……」