稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 お兄様はエカテリーゼ様を愛していなかった。愛する努力をしていたと言っていた。それで、結局エカテリーゼ様は浮気……というかもしかすると真実の愛に目覚めたというなら。
「お兄様、最低条件は……お兄様が愛せる人が良いと。お兄様を愛してくれる人がいいと思います。私とお兄様の中を嫉妬するくらい、お兄様のことを愛してくれる人を探してくださいっ」
 お兄様がくすりと笑った。
「それは難しいな」
「え?どうしてですか?」
「リリーを大切にしてくれない女性を愛することなんてできそうにない。むしろ、リリーとばかり仲良くして私は仲間外れになってリリーに嫉妬してしまうような人がいればいいのに」
「それって、私の友達っていうことですか?」
 もし、私が普通であれば。
 小さなころからお茶会に通い、今頃は学園に通って、中の良い友達が出来ていたかもしれない。
 私が友達もいなかったから……。
「い、いや、そのローレル嬢のことではなくて」
 は?
「ローレル様?」
「いや、その、具体的に誰かをさしているわけじゃないからな?ご、誤解するなよ?」
 そう……か。
 お兄様は婚約者がいなくなったんだ。新しく婚約者を探さないといけない。
 ……と、いうことは、あのパーティーに来ていたローレル様も、アンナ様もハンナ様もみんな私のお義姉様になる可能性があるっていうことでは?!

 男性アレルギーのある私は……。
 女性だけで暮らす修道院へ行こうと思っていた。
 ああ、だけれど……。
 もし、お兄様がローレル様のような方と結婚するのであれば、屋敷の片隅に部屋を貰って暮らそう。
 ポロリと涙がこぼれおちる。
 エミリー……エミリーと一緒の未来を夢見ていた。だけれど、それが叶わなくても……。前を向いて生きていかなくちゃならないんだ。
「ど、どうしたんだ、リリーっ!」