稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 時期公爵となるお兄様だ。見た目もとても素敵だし、何より優しい。世界で一番素敵な……いえ、お父様と並んで素敵な男性だもの。
 そりゃ、婚約者がいなくなったのだから……自分が!という人はいるわよね。
「何を言っている、リリーと話がしたくてみんなうずうずしてるんだよ」
「え?」
「王妃様が注目をしているファッションリーダーである公爵令嬢と仲良くして損はないだろうし、何より……リリーは可愛いからね。世界一可愛い。そりゃ、男どもはリリーと話がしたくて仕方がないさ」
 お兄様、兄の欲目じゃないかしらね?

「囲まれる前に出ようか?」
 兄の優しさに頷いて、会場を後にした。
 壇上から私とお兄様の様子を見ていたお父様が小さく頷いているのが見えた。きっと、気分が悪くなって帰ったと思っただろう。
 馬車の中でも、お兄様は、私をとても気遣い心配してくれた。
「部屋で休めば大丈夫です。それより、お兄様ごめんなさい。一緒に帰ることになってしまって」
「馬鹿だな……いいや、そんな言葉を出してしまうようになったのは私の今までの行いのせいだね……。すまないリリーシェンヌ。これからはお前が何があっても一番だよ。結婚相手には……リリーを大切にしてくれる人を探すよ。それが最低条件だ」
 そうだ。お兄様は婚約解消したばかりなのだ。
 あの話の内容からすると……
 エカテリーゼ様が浮気をしていたということ?お兄様のような素敵な婚約者がいつのに……。寂しさのあまり?
 それとも、お兄様よりも愛する人ができたということかしら?
 もし、そうであれば、お兄様と婚約を解消したら、その人と一緒になれるってこと?エカテリーゼ様はむしろ愛する人と結ばれて幸せになれるっていうことかしら?
 お兄様は愛する人を失い……傷ついたというのに。……いえ、ちょっと待って。