大きな手で不器用にハンカチにひと針ひと針刺していく。嬉しそうな顔。はにかんだ笑顔を私に向けて縫ったハンカチを見せてくれた。
陛下が見せてくれたのは2つの品だけだ。
あれ?刺繍を刺すときに使ったミニ裁縫道具は、お盆の上にない……。
あれは、あまりにも怖い絵が描いてあったからまさか贈られたものだと思わなかったのかな……?
エミリーなら雑に扱うわけないと思うけれど……。
……!
エミリーなら……。
エミリーじゃないから、不気味だと、捨ててしまったのかも。
ずきりと心臓が痛む。
ブーケ・ド・コサージュやハンカチとちがって……。エミリーじゃなければ、あれが何かなんて分からないだろうし。
エミリーと一緒に過ごした日々は……もう、私の記憶の中にしかない……。
エミリーの心の中には、私はいない。私は……。
私は……。
ねぇ、エミリー。忘れてしまっても、エミリーがシェミリオール殿下の中に生きていれば、また同じような関係になれるの?
……もし、そうじゃなければ。エミリーなのにエミリーじゃないと日々感じるのは辛すぎるよ。
ザワザワと会場のざわめきが収まらない。
「リリー、大丈夫かい?顔色が悪い。無理をしなくていいんだよ。もう陛下への挨拶も終わった。帰るかい?」
お兄様の心配そうな声が耳に届く。
「今なら、誰かに捕まって足止めされることもないよ」
足止め?
「さっきから、リリーを見ている奴らが多いからな……」
え?私を見ている?
エミリーのことばかり気にしていたから全く気が付かなかったけれど、言われて周りに視線を向けると、確かに私とお兄様に視線を向けている者は多い。
「あ、もしかして、お兄様は婚約を解消されましたし、自分が次の婚約者にと女性たちが待ち受けているんでしょうか」
陛下が見せてくれたのは2つの品だけだ。
あれ?刺繍を刺すときに使ったミニ裁縫道具は、お盆の上にない……。
あれは、あまりにも怖い絵が描いてあったからまさか贈られたものだと思わなかったのかな……?
エミリーなら雑に扱うわけないと思うけれど……。
……!
エミリーなら……。
エミリーじゃないから、不気味だと、捨ててしまったのかも。
ずきりと心臓が痛む。
ブーケ・ド・コサージュやハンカチとちがって……。エミリーじゃなければ、あれが何かなんて分からないだろうし。
エミリーと一緒に過ごした日々は……もう、私の記憶の中にしかない……。
エミリーの心の中には、私はいない。私は……。
私は……。
ねぇ、エミリー。忘れてしまっても、エミリーがシェミリオール殿下の中に生きていれば、また同じような関係になれるの?
……もし、そうじゃなければ。エミリーなのにエミリーじゃないと日々感じるのは辛すぎるよ。
ザワザワと会場のざわめきが収まらない。
「リリー、大丈夫かい?顔色が悪い。無理をしなくていいんだよ。もう陛下への挨拶も終わった。帰るかい?」
お兄様の心配そうな声が耳に届く。
「今なら、誰かに捕まって足止めされることもないよ」
足止め?
「さっきから、リリーを見ている奴らが多いからな……」
え?私を見ている?
エミリーのことばかり気にしていたから全く気が付かなかったけれど、言われて周りに視線を向けると、確かに私とお兄様に視線を向けている者は多い。
「あ、もしかして、お兄様は婚約を解消されましたし、自分が次の婚約者にと女性たちが待ち受けているんでしょうか」

