稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 ローレル様も言っていた。戦争から帰ってこない人がいると。ショックを受けて戻れなくなると。
 戦争……いくらすぐに終わったと、いくら楽勝だったと、いくら被害が少なかったと、いくら……怪我もなく無事だと言っても……。
 精神的な見えない苦痛を受けたのかもしれない。
 エミリー……。その戦争で人の上に立っていたエミリーはどれほどの精神的負担を負ったのだろう。
 ああ、かわいいものでめいっぱい囲んで癒してあげたい。かわいいお菓子に、かわいいぬいぐるみ……。

 そうだわ、婚約すれば、私の部屋にも招くことができるわ!私の部屋にもっと可愛い物を増やしましょう!
 子供っぽいと言われようが……ああそうだ。ファッションリーダーだと呼ばれ始めたことを利用したらどうかしら?
 大人だけでなく子供が喜ぶようなものを作りたいからと、童心に戻るためにとかなんとか言って。
 うん、そうしましょう。可愛い物しかない部屋にして……エミリーに来てもらうの。まって、侍女とかいたらエミリーも楽しめないわよね?じゃぁ、侍女を追い出して、2人きり……。
 カーっと頬が染まる。
 結婚前の男女が部屋で二人きりになんてなれるわけないじゃないのっ!
 いくら婚約していても、そんなはしたないこと、無理よ、無理っ。
 一人で青くなったり赤くなったりしている中、人々のざわめきが少し落ち着く。どうやら、陛下が次のお言葉を発する合図をしたようだ。
「皇太子の地位を捨てでも一緒になりたいと思っていた女性との婚約を、許そうと思う」
 へ?
 皇太子の地位を譲るんじゃなくて、婚約を許す?
 まって、どういうこと?
 私との婚約を陛下には反対されていたの?そんなことないわよね?いえ、どこの誰ともしれないんだったっけ。男爵令嬢かもしれないと思われていたなら反対もされていたかも。