稿 男性アレルギー令嬢とオネエ皇太子の偽装結婚 ~なぜか溺愛されています~

 一緒にいたいと、私が思ったせいで……。
「戦争を勝利に導いた褒賞として、私はシェミリオールの願いをかなえようと思う」
 皇太子の地位を弟の第二王子に……?
 いや、それは元々エミリーが望んでいた話だ。
 そうだよね。ううん、もしかしたら、ちょっと思っていたくらいで、本気ではなかったのかもしれない。
 それを、私と言う存在が加速させてしまったとしたら……?
 言わないと。
 伝えないと。
 エミリーに、皇太子妃でもなんでも私は平気だと。女性アレルギーがあっても、それを隠した状態でも、ローレル様の家で問題なく過ごすことができたのだもの。
 公爵家で、お父様やお兄様などの事情を知っている人に囲まれて守られていなくても……。
 ねぇ、エミリー、私は大丈夫だよ?
 むしろ、私……女性たちのために色々、私でしか出来ないことをしようと思ったの。
 どうしよう、どうしよう、今声を上げたら……おかしい?お父様に伝える?
 だけどエミリーが本気で皇太子の地位を弟に譲りたがっていたとしたらそれを邪魔することになってしまうし……。
 そうよ、大事なのはエミリーの意思。
 エミリーは当然陛下の言うことを知っていたんだよね?
 エミリーの姿に視線を向ける。
 もしかしたら、エミリーも私を見て何か合図を送ってくれているかもしれないと……。
 エミリーの視線は、私には向いていなかった。どこにも向いていない。なんだかぼんやりと宙を見つめているような表情だ。
 ……疲れているのかしら?
 戦争から帰って、休めているのかしら?怪我はなく無事だとお父様は言っていた。
 あれ?お父様は何と言っていたのだろうか。そうだ。お父様と話す時間はなかったけれど、お兄様にお父様が言っていたことを聞いたんだ。
 少々問題が……それは精神的な物だと……。
 精神的な問題。